1.スワップポイントとは、通貨ペアの1日の金利調整額のことです。
2.通貨ペアを長期保有すれば、スワップポイントによる利益を継続的に獲得することができます!
3.スワップポイントは、同じ通貨ペアでもFX会社によって異なります。
FXの代表的な利益には、キャピタルゲインと呼ばれる「売却益」とインカムゲインと呼ばれる「スワップポイント」の2つがあります。売却益とは、安く買って高く売ることで得られる差益のことで、これをキャピタルゲインと考える人が多いのではないでしょうか。
しかし、「スワップポイント」という言葉は、FX初心者の方にとってはあまり馴染みのない言葉かもしれません。そもそも、スワップポイントが何を表し、どのようなメリットがあるのか知らない人もいるかもしれません。
今回は、FX取引におけるスワップポイントとは何か、どんなメリット・デメリットがあるのかを紹介したいと思います。最後に、高スワップを狙えるおすすめ通貨ペアもご紹介します!
スワップポイントとは?
FX取引において、スワップポイントとは、金利の高い通貨の金利と、金利の低い通貨の金利の差のことをいいます。
基本的に、1日に獲得できるスワップポイントは、以下のように決められます。
買いの場合”買う通貨の金利-売る通貨の金利 “となります。
例:トルコリラ/円を買う場合、「トルコリラ」は買う通貨、「円」は売る通貨となります。トルコリラの金利を17%、円の金利を0.1%と仮定すると、スワップポイントとして
17% – 0.1% = 16.9%.
売るとき”売りたい通貨の金利-買いたい通貨の金利”
例:トルコリラ/円を売る場合、「トルコリラ」は売る通貨、「円」は買う通貨となります。したがって、スワップポイントは
0.1% – 17% = -16.9%.
したがって、高金利の通貨を買えば金利差に応じたスワップポイントが付与され、高金利の通貨を売れば金利差に応じたスワップポイントを支払わなければなりません。
高金利通貨の購入・開設ではスワップポイントが注目されがちですが、取引によっては決済が必要な場合があるので注意が必要です。
なお、買い時に獲得するスワップポイントを「買いスワップ」、売り時に獲得するスワップポイントを「売りスワップ」と呼びます。この2つの用語も覚えておくとよいでしょう。
スワップポイントはいつ付与されるの?
では、スワップポイントはいつ付与されるのでしょうか?
スワップは、日をまたいでポジションを保有した場合に発生し、FX会社で日付変更処理が行われる取引休止時間帯であるロールオーバー時に付与されます。
ロールオーバーの時間は、ニューヨーク市場が閉まる時間帯に設定されており、
会社によって異なりますが、多くの会社でニューヨーク時間18時(日本時間8時)です。大手FX会社の外為どっとコムでは、ロールオーバーの時間は5:55から6:10までとなっています。
土日祝日のスワップポイントはどうなるのですか?
ただし、土曜・日曜はFX取引ができません。その間のスワップポイントはどうなるのでしょうか?実は、土日祝日に付与される分のスワップポイントは、各FX会社が定める曜日にまとめて付与されます。
スワップポイントのメリットは何ですか?
1.スワップポイントによる継続的な利益
スワップポイントのメリットは、利益を継続的に受け取ることができることです。ポジションを保有している限り、土日祝日を除く毎日、スワップポイントを受け取ることができます。
土日祝日はスワップポイントなし」と覚えておくと、土日祝日の分は基本的に平日にまとめて付与されるので、1週間ポジションを持てば7日分のスワップポイントを受け取ることができるのです。
忙しくて一日中パソコンと向き合っていられないという方にもおすすめです。ただ、あまり放っておくと、価格変動で通貨ペアの評価損がスワップポイントより大きくなってしまうことがあるので、注意が必要です。
1日にもらえるスワップポイントは微々たるものですが、1年で計算するとどれくらいの金額になるのか考えてみてください。
例えば、トルコリラ/円を取引し、1日にもらえるスワップポイントが1万通貨単位あたり50円だとします。1万通貨のポジションを1年間維持すると、「50円×365日=18,250円」が手に入ります。100,000通貨なら182,500円。
ちなみに、トルコリラ/円を1万通貨買うために必要な資金は、レバレッジなしだと約13万円、レバレッジ25倍だと約5200円必要です。
2.レバレッジで必要資金を抑えながらスワップポイントを狙える。
また、FXには自己資金以上の取引ができる「レバレッジ」という仕組みがあります。
このレバレッジを利用すると、自己資金の25倍まで取引することができます。つまり、より少ない投資資金でポジションを持つことができるのです。
また、スワップポイントは取引する通貨量に応じて増えるため、レバレッジが高いほどスワップポイントも多くもらえます。つまり、1,000通貨あたり100円程度の利益でも、レバレッジを活用すれば大きな利益となるのです。
ただし、レバレッジは大きな金額を動かすことができるため、リスクも伴います。そのため、最初はあまり大きなレバレッジをかけず、手持ちの資金量も考慮してレバレッジを決めるようにしましょう。
目先の利益に目がくらんで、「最初から25倍までレバレッジをかけよう」などと言ってはいけません!しないことです。
スワップポイントのデメリットは?
継続的に利益を得られるのが魅力のスワップポイントですが、もちろんデメリットもあります。ここでは、スワップポイントのデメリットを紹介し、リスクを最小限に抑える方法を考えてみましょう。
まず、スワップポイントのデメリットとして、「為替変動リスク」「金利変動リスク」「マイナススワップ」の3つが挙げられます。まず、為替変動リスクから説明します。
1.為替変動リスク
基本的にFX取引では、為替レートは24時間変動しています。そのため、通貨を長期間保有していると、スワップポイントによる利益よりも、為替レートの変動による含み損の方が大きくなってしまうことがあります。
また、高金利通貨は「新興国」の通貨であることが多く、為替レートの変動が激しいという特徴があります。したがって、高金利通貨を長期で保有する場合は、これらのリスクに注意してください。
また、為替レートが変動すると、受け取るスワップポイントもそれに応じて変動します。
2.金利変動リスク
次に、金利変動リスクです。対象通貨を発行している国の政策金利が変化すると、金利差が小さくなったり、逆に小さくなったりすることがあります。
特に、金融危機などで為替レートが大きく変動し、政策金利も引き下げられた場合、金利差が逆転する可能性が高いです。そうなれば、「スワップポイントの支払い」が必要になります。この金利変動リスクはデメリットの一つです。
3.ネガティブ・スワップ
高金利の通貨を売って低金利の通貨を買うと、逆にスワップポイントを支払う必要があります。
スワップ目的で通貨を長期保有した場合、金利差が逆転するとスワップポイントを支払うことになり、長い目で見ると大きな損失となる可能性があります。
金利差が逆転したときにスワップポイントを支払う必要がないように、FX会社のホームページで通貨の金利差を定期的に確認する習慣をつけておくことをおすすめします。
スワップ狙いのトレードのコツ
スワップ取引のメリット・デメリットを把握したところで、本章では「スワップ取引のコツ」を簡単に紹介します。ここで紹介する内容は、スワップ取引に関する初歩的な知識ですが、こうした基本的な知識を頭に入れておくことで、「大きな失敗」を避けることができるようになります。自分の資金を守るためにも、ぜひ一度ご覧になってみてください!
自分に合ったレバレッジでスワップを狙おう。
損失が発生した結果、口座残高が最低必要証拠金額を下回った場合、ポジションを決済するロスカット(強制決済)が実行され、受け取ったスワップポイントを上回る損失が発生する場合があります。
レバレッジが高いほど、為替レートの変動が小さくてもロスカットされる可能性が高くなります。レバレッジを小さくして運用すると、ロスカットによる損失リスクを軽減できますが、投資金額も大きくなります。
投資する通貨ペアを分散させる。
スワップポイントの収益よりも為替差損の方が大きければ、損をしてしまいます。リスクを減らすためには、投資する通貨ペアを分散させることが賢明です。
ある通貨ペアの利益が小さくても、他の通貨ペアの利益でカバーすることができます。高金利通貨は変動が激しいので、米ドルや豪ドルなど比較的安定した先進国通貨に分散投資するのもよいかもしれません。
スワップ金利が高いおすすめの通貨ペア
スワップポイントとは何か、そのメリット・デメリットがわかったところで、スワップポイント狙いのおすすめ通貨ペアを紹介します。
高金利の新興国通貨で高スワップ金利を狙え
まずは、通貨の中でも特に高金利な新興国通貨を紹介します。スワップ面で注目されている主な新興国通貨は、トルコリラ、メキシコペソ、南アフリカランドです。
トルコリラ/円
トルコリラは2021年5月現在で「17%」と非常に高い金利であり、スワップ通貨として非常に収益性が高く効率的です。ただし、トルコリラは取引量が少なく、レートが変動しやすい通貨であることに注意が必要です。また、トルコ国内の政治情勢によってレートが大きく変動することもあります。そのため、トルコリラ円とのスワップを狙う場合は、トルコや関連国の動向も確認することが望ましいです。
メキシコペソ/円
さらに、近年注目されているのがメキシコペソです。メキシコペソはトルコリラほどの高金利ではありませんが、為替変動幅が5~8円と比較的為替変動リスクは低いと言えます。政策金利は4.25%(2021年2月現在)とトルコリラほど高くはありませんが、スワップでも十分に利益を出すことができます。
南アフリカランド/円
そして最後に、南アフリカランドです。南アフリカランドも金利が3.50%(2021年2月現在)となっており、高スワップが狙えます。南アフリカは新興国であると同時に、世界有数の資源国でもあります。そのため、資源価格と為替相場が連動することが多いです。
上記3通貨は、高いスワップ金利が魅力ですが、先進国通貨に比べ価格変動リスクが大きく、また、その国でクーデターが発生した場合、価格が暴落するリスクもあります。したがって、これらの通貨の「ハイリスク・ハイリターン」な性格を理解することが重要である。
先進国通貨との安定したスワップを目指す!
「新興国通貨はリスクが高いからちょっと…」という方には、先進国通貨との安定したスワップポイントを目指すことをおすすめします。ここでは「AUD」と「USD」をご紹介します。
AUD/JPY
オーストラリアドルは、先進国であり資源国でもあるオーストラリアの通貨です。オーストラリアは年々経済成長を続けており、豪ドルは安定した通貨です。また、豪ドルの金利は0.1%(2021年2月現在)と、日本の低金利と比べると少ないですが、安定したスワップ金利を継続的に受け取ることができます。
米ドル/円
日本人にとって最も身近な外貨といえば、米ドルである。米ドルは世界の通貨の中心と言われ、通貨取引量も最も多い。そのため、非常に安定した通貨といえます。米国の政策金利は0.25%(2021年2月現在)であり、スワップも可能なバランスの良い通貨と言えます。
まとめ
今回は、FX取引における「スワップポイント」についてご紹介しました。スワップポイントの特徴を理解すれば、長期的な利益を狙うことが可能です。
FX取引の初心者の方は、まず主要通貨である米ドル/円のシステムトレードで、スワップポイントとは何かを学ぶとよいかもしれません。