FXを始めたものの、売買の判断が難しく、なかなか利益が出ないと感じたことはありませんか?
また、頻繁にレートやチャートをチェックするほど時間がない方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな風に感じている方のために、ここでは自動売買(システムトレード)について詳しく解説していきます。自動売買を行うことで、FXの取引方法の選択肢が増え、「利益が出ない」「時間がない」という悩みを解決することができます。
FXの自動売買(システムトレード)の基礎知識
まずは、自動売買がどのような取引なのか、初めての方でもわかるように、基本的なことを説明します。
▼自動売買って何?
自動売買とは、その名の通り、自動で行われる取引のことです。誰が自動売買を行うかというと、人間ではなく、機械が行います。そのため、自動売買は「システムトレード」「シストレ」とも呼ばれています。例えば、毎日朝8時にUSD/JPYを買いたいと思ったとします。通常であれば、どんなに眠くても毎朝取引画面にログインして、朝8時にUSD/JPYを買うボタンをクリックしなければなりません。しかし、自動売買なら、たとえ8時に寝ていても、毎朝8時にシステムが稼働して自動的にUSD/JPYを売買してくれます。「毎日8時になったらUSD/JPYを買いたい。毎日午前8時にUSD/JPYを買う」といった一定のルールがあれば、そのルールをシステム化して自動的に注文を出すことができ、これが自動売買です。自動売買に対して、手動で(自分で売買ボタンをクリックして)取引することを「裁量取引」「一任取引」といいます。
▼自動売買を利用した取引のメリット
では、自動売買の具体的なメリットを3つ見てみましょう。
(1) 24時間チャンスを逃さない
外国為替取引は24時間取引可能です。外国為替市場は24時間取引されており、”眠らない市場 “と呼ばれています。特にニューヨーク市場では取引が活発で、つまり日本時間の深夜から早朝にかけて価格変動が大きくなります。激しい価格変動は大きな利益を得るチャンスですが、24時間取引画面に張り付いているわけにはいきません。一方、自動売買では、寝ている間や仕事をしている間も一定のルールに従って自動的に売買が行われるため、24時間利益チャンスを逃すことがありません。
(2) 感情に左右されない取引
FXに限らず、投資の世界では「冷静さを失って失敗してしまった」という話をよく聞きます。例えば、「含み損が膨らんで損切りの指示を出しそびれてしまった」、「損失を取り戻したい一心で、何も考えずに新しいポジションを取ってしまった」等々。冷静な判断ができずに失敗した経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。どんな状況でも冷静にトレードするためには、訓練と慣れが必要です。一方、自動売買は一定のルールに従って機械的に売買を行うため、注文を出す際に感情に左右されることはありません。
(3) 専門的な知識や分析が不要であること。
FXの裁量取引を行う場合、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析を行い、売買のタイミングを見極めるのが一般的です。世界の金融政策に関連するニュースを見て将来の値動きを分析したり、チャートやテクニカル指標から売買ポイントを探したりするなど、FX取引には一定レベルの知識が必要です。この点、自動売買の中には、あらかじめ売買ロジック(売買戦略)が取引ツールに組み込まれているため、難しい分析を必要としないものもあります。
▼自動売買を利用した取引のデメリット
逆に、自動売買のデメリットを見てみましょう。
(1)相場の急変に柔軟に対応できない。
例えば、レンジ相場に強い自動売買システムを運用していたとします。ある日、相場がレンジを抜け出し、急激な上昇トレンドが発生したとします。その上昇トレンドに乗ることができれば、大きな収益チャンスです。しかし、レンジ相場に強い自動売買プログラムでは、上昇トレンドに対応できないことが多いです。自動売買では、すべての市場で機能し、常に利益を生み出すプログラムというのは存在しません。現在の相場や自分の投資スタンスに合ったプログラムを見つけて実行するのがよいでしょう。
(2) ツールによっては、セットアップが難しい場合があります。
自動売買は難しい知識や分析を必要としませんが、取引ツールによっては設定が難しいものもあります。特に、世界的に有名なMT4(Meta Trader 4)と呼ばれる取引ツールは、自動売買の設定が困難です。自分で自動売買プログラム「EA(Expert Advisor)」を開発・購入し、自分でMT4上で動かす必要があります。高価なEAを購入しても、MT4に設定できないので諦めてしまう人もいるようです。
FX自動売買ツールの主な種類
自動売買ツールには、大きく分けて2つの種類があります。それは、”発展型システムトレード “と “選択型システムトレード “です。それぞれにメリット・デメリットがあり、投資家によって向き不向きがあります。
▼開発型システムトレード
「開発型システムトレード」とは、上記のMT4(メタトレーダー4)等の取引ツールの総称です。自動売買プログラム「EA(Expert Advisor)」は外部のもので、MT4に設定して実行する必要があります。外部のEAは、プログラミング言語を使って自分で作成することもできますし、自分で作成できない場合は、プログラムされたEAを購入することも可能です。
上級者向けではありますが、プログラミング言語の柔軟性により、自動売買プログラムを自由に変更できる点が魅力的です。例えば、「2本の移動平均線がゴールデンクロスになったら買う」という自動売買プログラムを実行したい場合、MT4では2本の移動平均線の周期を自由に変更することができます(例:短期5本、長期75本など)。また、自分オリジナルの売買ロジックを自動売買用にシステム化することも可能です。
▼選択式システムトレード
「選択型システムトレード」とは、取引ツールの総称です。あらかじめ自動売買プログラムが組み込まれており、その中から選んで「取引開始」ボタンをクリックすると、自動売買が開始されます。
洋服に例えると、「開発型システムトレード」はオーダーメイドの洋服のようなもので、「選択型システムトレード」はお店で既製品の中から好きな洋服を選ぶようなものです。既製品の中から選ぶだけなので、詳しい知識がなくてもすぐに取引を開始することができます。その点では、初心者向けの自動売買ツールと言えるでしょう。ただし、既製服のデザインを変えることができないように、あらかじめ組み込まれた自動売買プログラムの売買ロジックも変えることはできません。例えば、「2本の移動平均線がゴールデンクロスになったら買い」という自動売買プログラムの移動平均線の周期は、初期設定から変更することはできません。
FX自動売買プログラムの主な種類
次に、売買シグナルの元となる自動売買プログラムの主な種類を紹介します。
▼プログラムタイプ
その名の通り、プログラム化された売買ロジックです。「2本の移動平均線がゴールデンクロスになったら買う」「米ドル/円を毎日朝8時に買う」など、上記のような例の売買ロジックをプログラミング言語を使って機械化したタイプのプログラムです。取引ロジックは公開されているものと、公開されていないものがあります。取引は一定のルールに従って行われ、設定されたルール以外の取引は行われない。基本的に取引は新規注文から決済注文まで自動で行われるが、新規注文のみ自動で執行し、決済注文は手動で執行しなければならないプログラムもあります。
▼リピートタイプ
ある通貨ペアを繰り返し売買する自動売買プログラムです。例えば、米ドル/円を20銭ごとに購入し、購入価格より30銭上昇したら売却するプログラムなどです。一定のルールに従って売買するという意味ではプログラム型に属するが、リピートオーダー型が注目されていることから、他の自動売買プログラムと区別して分類されることもあります。
外国為替市場では、明確なトレンドが発生するのは2~3割程度で、残りの7~8割はレンジ相場と言われています。リピートオーダーはレンジ相場に強い取引手法ですが、裁量で取引するためには、毎回大量の注文を取引画面に設定する必要があり、面倒な面があります。そこで注目されているのが、自動売買におけるリピートオーダーです。みんなのシストレ』では、自動売買の中でもリピートオーダー型が人気です。特に、メキシコペソ/円やトルコリラ/円などの高金利通貨のリピート注文は、スワップポイントによる利益が期待できるため、人気があります。
▼トレーダータイプ
実際にFX取引を行っている個人投資家のトレードをもとに売買シグナルを発生させるタイプです。成績の良い個人投資家の取引をもとに注文を出すことができるため、初心者でもプロ顔負けの上級トレーダーと同じような取引ができます。相場が急変した場合でも、個人投資家なら柔軟に対応することができます。ただし、選んだトレーダーの成績が急に悪くなって損失が膨らんだり、突然取引をやめてしまったりするリスクもあります。
自動売買でFXの取引幅を広げる
自動売買(システムトレード)は難しそうというイメージは払拭されましたか?裁量取引でなかなか利益が出せない方は、自動売買に挑戦してみるのもいいかもしれませんね。また、FXの裁量取引でうまくいっている方も、裁量取引に対するヘッジとして、投資の一部を自動売買に振り向けてみるのもいいかもしれませんね。