外貨投資の手段には様々なものがあり、銀行が取り扱う外貨預金もその一つである。しかし、外貨投資の手段としてFXを選ぶ人も少なくありません。なぜFXが選ばれるのか、その理由を説明しましょう。
外貨投資の種類は?
投資のプロの世界では、昔から「国際分散投資が理想形」と言われています。かつては、これを個人レベルで実践することは容易ではありませんでしたが、金融商品やサービスが多様化した現在では、状況は一変しました。
資産を外貨で運用する「外貨投資」も例外ではなく、さまざまな金融商品・サービスの選択肢があります。具体的には、外貨預金、外国債券、外貨建てMMF(マネー・マーケット・ファンド)、FXなどがあります。
FXには、店頭FXと取引所FXの2種類があります。このうち、最もポピュラーなのが店頭FXです。その理由を、トーナメント方式で他の外貨建て商品と比較しながら探ってみましょう。
外貨投資三番勝負①:外貨預金VS.外貨預金
外貨預金とは、日本円を米ドルなどの外国通貨に交換する預金です。自由に引き出せる「普通預金」と、1カ月から3年までの満期がある「定期預金」があります。
預金ですから、預金期間に応じて利息がつきますが、ポイントは通貨を発行した国の金利水準が反映されることです。ほぼゼロである日本の定期預金に比べれば、はるかに高い金利を得ることができます。
また、預金時(日本円を外貨に交換した時)よりも円安になったタイミングで外貨に交換すれば、為替差益を得ることができます。つまり、外貨預金では「海外の高金利+為替差益」が期待できるのです。
では、FXと比較した場合の収益性については、どのように言えるのでしょうか。率直に言って、外貨預金はFXに劣る部分があるという判断になりそうです。
まず、FXはレバレッジを効かせて運用すれば、外貨預金の利息よりも効率よくスワップポイントを獲得することができます。そして、為替差益についても同じことが言え、スプレッド(為替手数料相当コスト)は外貨預金よりもはるかに狭いです。
外貨運用三番勝負②:外貨MMFとFXの比較
次に、外貨建てMMFとFXを比較してみましょう。外貨建てMMFは、外貨で運用される投資信託の一種です。
高格付けで安全な短期証券等で運用され、いつでも換金でき、分配された外貨MMFの運用実績の利回りは、事前に約束された数値ではありませんが、常に外貨預金の利息を上回っています。
また、他の外貨投資商品と同様に、投資を開始した時点から円安になれば為替差益が期待できますが、外貨預金に比べてスプレッドが狭いので、利益を得やすいという特徴があります。
このように、外貨MMFは外貨預金よりも有利な点がありますが、FXと比較した場合、どのように判断するのでしょうか。結論は、FXの魅力が優れているということです。
運用成績の利回りについては、FXはレバレッジをかけることでさらに利回りを高めることが可能です。また、外貨MMFのスプレッドは外貨預金に比べれば狭いものの、FXに比べればまだ広いと言わざるをえません。
万が一に備える!FXなら将来に向けた投資ができる。
将来を見据えた資産運用のために、お金の一部を外貨で運用することが賢明だと言われています。先進国中最悪の財政赤字、少子高齢化で国全体の人口だけでなく経済を支える労働人口も減少するなど、日本が深刻な課題を抱えていることは明らかです。
今、日本が世界有数の経済大国であっても、20年後、30年後にその衰退が明らかになるかもしれません。いたずらに悲観する必要はありませんが、万が一そのような事態が発生した場合に備えて、資産形成を考えておいて損はないでしょう。
現実には、日本の経済力が低下すれば、それが円の国際的な価値に反映される可能性が高い。しかし、資産の一部が外貨で運用されているのであれば、少なくともその部分を保全する努力はできるはずです。
もちろん、短期的な為替差益を効率的に得ることもFXの醍醐味ですが、より長期的な視点での外貨投資にも注目したいですね。