ファンダメンタルズ分析とは何か?FX取引で見るべき情報とは?

FXの分析・予測には様々な手法がありますが、一般的にはチャート上のローソク足を使って分析を行う「テクニカル分析」と、金融政策や経済状況、経済指標をもとに分析を行う「ファンダメンタル分析」に大別されます。どちらか一方の分析手法だけでは不十分であり、特に中長期的な投資においては、両者を活用したトレードが求められます。ここでは、ファンダメンタルズ分析について説明します。

FXのファンダメンタルズ分析って何?

ファンダメンタルズ分析は見るべき情報が多く、最初は少し敷居が高く感じるかもしれません。しかし、中長期的な投資においては、取引する通貨を持つ国の金融政策や経済状況が非常に重要であるため、欠かさずチェックすべき項目といえます。この章では、そもそもファンダメンタルズ分析とは何かを整理していきます。

▼ファンダメンタルズ分析の意味
ファンダメンタルズ分析とは、その国の経済データを用いて市場価格を予測する分析手法のことです。ファンダメンタルズとは、「経済の基本的条件」とも訳されます。経済成長率、物価上昇率、財政支出などです。
また、広義には、経済に影響を与える可能性のある要人発言もファンダメンタルズに含まれます。
ファンダメンタルズ分析には、日々発表される経済指標や要人発言などの情報を収集することが非常に重要です。
株式投資の場合は、企業の業績、売上高、資産、負債、財務の健全性などがこれにあたります。ファンダメンタル分析の代表的な指標としては、株価収益率(PER)、株価純資産倍率(PBR)、自己資本利益率(ROE)の3つがあり、トレーダーは、市場価格が将来の本質的価値に対して割安か割高かを判断するために使用します。

▼テクニカル分析との違い
テクニカル分析とは、チャートをもとに価格や値動きのサイクルに着目した分析手法のことです。過去の値動きを示すチャートを用いるほか、テクニカル指標を組み合わせて分析を行う。テクニカル指標の例としては、移動平均線、ボリンジャーバンド、RSI、MACDなどがあります。
ファンダメンタル分析とテクニカル分析は全く異なる分析方法ですが、それぞれにメリット・デメリットがあり、優劣はありません。この点は、投資家の間でよく議論されるところですが、紛れもない事実です。それぞれの分析手法の特徴を押さえて、自分に合った投資スタイルを賢く見つけることが大切です。ただし、初心者の場合はテクニカル分析の方が馴染みやすいので、まずはテクニカル分析から取引を始めて、徐々にファンダメンタル分析に慣れていくのがよいでしょう。

FXで注目すべき、主なファンダメンタルズ

ファンダメンタルズ分析は、テクニカル分析とともに非常に有効な分析手法です。では、実際にファンダメンタルズ分析を行う際には、どのようなデータを見ればよいのでしょうか。ファンダメンタルズ分析を初めて行う際に見るべきデータは、大きく分けて4種類あります。これから説明する4つで、ほぼ要点を網羅することができます。それでは、見ていきましょう。

▼経済指標
まず、経済指標というものがあります。これは世界中の政府や中央銀行が毎日発表する経済データで、プロを含む多くの投資家がチェックしています。そのため、経済指標の発表前後で大きな値動きを見せることもあるため、経済指標の発表時間を把握することだけでも、最初は必要です。経済指標は、ファンダメンタルズデータの中で最も速報性が高く、最新の情報を得ることができます。もちろん、すぐに物価に影響を与えないものも多くありますが、中長期的に大きな意味を持つ指標もあり、その国の経済状況の本質的な価値を計るデータでもあります。
経済指標は、FX会社が提供する経済指標カレンダーを利用して無料で確認することができます。経済指標カレンダーには、時刻、指標名、前回値、予想値、結果などが記載されています。また、指標の重要度を記載している会社もあるので、どの指標に注目すればいいのかが一目でわかります。

▼金融政策
投資対象通貨の金融政策は、経済指標と並んで非常に重要な要素です。金融政策の例としては、政策金利の動向や緩和・引き締め政策などが挙げられます。市場分析上も重要ですが、金融政策によってスワップポイントが大きく変動するため、スワップポイントを意識して取引する投資家にとっては、特に関心の高い項目です。ただし、金融政策は他のファンダメンタルズと比較して分析が難しいため、注意が必要です。

▼主要人物の発言
経済指標と並んで、要人発言もファンダメンタルズ分析において比較的値動きをしやすい速報性の高いデータです。ここでいう要人とは、各国政府や中央銀行の要職にあり、金融・財政政策に大きな影響力を持つ人たちのことです。しかし、要人発言は、その発言から今後の経済状況や政策指針を読み取り、市場価格への影響を考慮しなければならないため、他のファンダメンタルズ分析と比較して分析が難しいのも事実です。

▼地政学的リスク
地政学的リスクとは、国と国との間の紛争やトラブルのことです。トラブルのある国や地域は、経済的に不安定であると考えられます。移り変わる問題ではなく、特定の地域で長年続いている問題である場合も多いので、取引する通貨の国がどんな地政学的リスクを抱えているのか、できればその理由や背景を調べてから取引するとよいでしょう。

ファンダメンタルズ分析の方法

ファンダメンタルズ分析とは何か、どのような分析の種類があるのかがわかったところで、実際にファンダメンタルズ分析を行う方法について見ていきましょう。データを収集した後、そのデータをどのようにトレードに生かすかについて見ていきます。
まず、最も重要な経済指標を確認することです。最初は、経済指標がたくさんあって、何を意味しているのかわからないかもしれません。そんなときは、FX会社の経済指標カレンダーに記載されている重要度を参考に、どの指標が注目されているのかを確認するとよいでしょう。例えば、米雇用統計は発表の前後で数十pips動くことが多いので、発表時間を常に把握しておくことが大切です。
次にやるべきことは、経済指標以外のファンダメンタルズの情報収集です。発表時期が決まっている経済指標と違い、ファンダメンタルズの多くは突然のヘッドラインとして飛び出してくることが多いからです。そこで、適切な情報収集の方法を紹介します。

実は、情報収集に正解はなく、どこからでも情報収集が可能な時代になっているのです。テレビや新聞といった旧来のメディアからも情報収集が可能です。テレビや新聞は、政治や経済の情報が充実しているので便利です。また、一次情報よりも人の手によって比較的わかりやすく発信されることが多いので、最初のうちはおすすめです。
慣れてきて、速報性や処理できる情報量が増えてきたら、TwitterなどのSNSを活用すると、非常にスムーズに情報にアクセスできます。例えば海外からの情報などは、SNSを使うか使わないかで、情報収集のスピードが全然違ってきます。同様に、SNSにはFXトレードが得意な人がたくさんいます。彼らがチェックしている情報源を参考にするのもいいかもしれませんね。

ファンダメンタルズ分析を行う際の注意点

ファンダメンタルズ分析には見るべき情報がたくさんありますが、市場の方向性を形成する非常に重要な分析であることはご理解いただけたと思います。しかし、そんなファンダメンタルズ分析にも注意点があります。

▼短期売買の分析には適していません
ファンダメンタルズ分析とは、経済情勢をベースにした分析です。もちろん、経済指標や要人発言など、その場で敏感に反応する要因もありますが、その多くは中長期的に相場を形成する要因です。したがって、ファンダメンタルズ分析は中長期的な取引に向いており、短期的な取引には向かない場合があります。以上のように、経済指標や要人発言などのサプライズは短期でも大きな値動きにつながることがありますが、一般的に短期売買を行う場合は、テクニカル分析と組み合わせて適切な売買戦略を立てる必要があります。

▼為替レートへの影響があまりないケースもある
日々溢れるニュースは、一見ファンダメンタルズ分析の材料が豊富なように見えますが、為替レートに直接影響を与えるのは、その中のごく一部です。しかし、為替レートに直接影響を与える材料は、そのごく一部でしかありません。では、どの経済指標や発言が相場を動かすのでしょうか。それを推測するには、過去のデータを見る必要があります。そうはいっても、注目度は高いが、先行レポートなどを市場がすでに織り込んでいる場合や、データが古い場合などは、過去のデータを盲信するのは危険かもしれません。
しかし、「バタフライ効果」という言葉があるように、短期的には注目されなくても、長期的には大きなトレンドを形成するなどインパクトのある材料も多いので、適切な知識を身につけ、材料の取捨選択ができるようになることが重要です。

▼予測に希望的観測を織り交ぜてはいけない。
ファンダメンタルズ分析は、テクニカル分析に比べ、売買のタイミングを決める具体的な定量的基準やシグナルがなく、自分自身で分析を行う必要があるため、難易度は高い。分析のための情報を選択・選別する際には、自分にとって都合の良い情報ばかりを選択しないように気をつけましょう。分析を行う際に、自分なりの判断基準や考え方の指針を持つことで、客観的かつ効率的な分析を行うことが可能になります。

ファンダメンタルズ分析は、日々の積み重ねで精度を高めていく

これまで、ファンダメンタルズ分析について解説してきました。これからFXを始める方にとっては、難しかったかもしれません。ですが、ご安心ください。取引を重ねていくうちに、徐々に理解が深まっていくはずです。まず、経済指標カレンダーを毎日チェックしましょう。最も重要な経済指標が発表される時間にチャートを見ます。どの経済指標が為替に影響するのかがだんだん分かってきます。今は難しく感じるファンダメンタルズ分析も、日々積み重ねていけば、あなたのトレードに欠かせない分析手法になるかもしれませんね。

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