FXのテクニカル分析って何?初心者におすすめの手法と注意点

FX取引で相場予測を行う際には、様々な角度から相場を分析することが重要です。
なぜなら、一つの指標の結果や値動きだけで安易に取引すると、相場の方向性を見誤る可能性があるからです。相場分析の方法には、大きく分けて「テクニカル分析」と「ファンダメンタル分析」があります。どちらが優れているということはなく、それぞれの特徴を理解しながら分析することが重要です。まず、テクニカル分析とファンダメンタル分析とは何かについて説明します。

FXで使われる2つの分析方法

FXで使われる主な分析手法には、「テクニカル分析」と「ファンダメンタル分析」があります。この2つの手法にはそれぞれ特徴があり、トレーダーによってどちらの手法を使うか、あるいは両方を使うかは様々です。使い分けを理解した上で、自分がどちらの分析手法を好むか、自分の考え方に近いかどうかを考えてみると、新たな発見があるかもしれません。

▼テクニカル分析
テクニカル分析は、主に過去の値動きを示すチャートを用いて、過去の価格推移から相場を予測するものです。価格動向に基づくテクニカル分析は、「過去のパターンは繰り返しやすい」という考えに基づいているため、類似のパターンを探して相場予測を行うことが主な目的です。チャートの縦軸は価格、横軸は時間で、時間軸は短期から長期まで変更可能です。時間軸は短期(1分)から長期(1ヶ月)まで変更することが可能です。時間軸と価格帯を変えることで、その通貨が上昇トレンドなのか下降トレンドなのかを確認することができます。チャートは投資家の心理を反映すると言われており、投資家は皆、チャートを見ながら取引をしています。したがって、チャートに現れる投資家心理を読み取り、売買のタイミングを探るのがテクニカル分析であるといえます。移動平均線、ボリンジャーバンド、RSI、MACD、一目均衡表などのテクニカル指標を組み合わせて使うことで、市場の過熱感やポイントを視覚的に把握しやすくなります。

▼ファンダメンタルズ分析
ファンダメンタルズ分析とは、各国の経済指標や要人発言などの情報をもとに、経済状況や金融政策、政治などを分析し、相場を予測することです。例えば、米ドル/円を分析する場合、米国や日本の経済状況、中央銀行総裁の発言などを分析し、相場を予測する。一般的に、経済状態が良く、政治状況が安定している国の通貨は上昇し、経済状態が悪く、政治状況が不安定な国の通貨は下落する傾向がある。また、各国の金融政策も重要です。2つの国の政策を比較した場合、安定した利上げを行っている国の通貨は相対的に上昇しやすいと言われています。為替レートは予想される将来の出来事を織り込んでいるため、テロや自然災害、政変、雇用統計の悪化、金融政策の変更など、市場が織り込んでいない想定外の出来事は、大きな影響を与えることがあります。そのため、各国の政治や経済指標の内容を把握し、ツイッターなどのSNSで海外情報を収集することも大切です。

▼テクニカル分析の主な例
テクニカル分析は、チャートを使って簡単にできるため、初心者が始めやすい分析方法です。テクニカル分析では、チャートの他にテクニカル指標を用いることが多いです。テクニカル指標には、大きく分けて「トレンド系指標」と「オシレーター系指標」の2種類があります。トレンド系テクニカル指標は一般的にトレンドの方向をわかりやすく表示するもので、オシレーター系テクニカル指標は相場の買われすぎ、売られすぎを判断するためのものです。それでは、代表的な3つのタイプについて、それぞれ見ていきましょう。

▼トレンドシステム
・移動平均
移動平均線は、最も有名なテクニカル指標の一つであり、多くのトレーダーが利用しています。移動平均線は、一定期間の価格を平均化することで算出され、算出された平均線を連続させることで相場の方向性を見やすくし、初心者にも分かりやすくしています。一般的には「ゴールデンクロス」が有名で、短期移動平均線が長期移動平均線を下から上に突き抜けたときが買いシグナルとされます。逆に、短期移動平均線が長期移動平均線を上から下へ突き抜けた場合は「デッドクロス」と呼ばれ、売りサインとされます。

・一目均衡表
一目均衡表は、日本のテクニカル指標の一つで、特徴的な「雲」の抵抗帯を持ちます。一般にローソク足と組み合わせて使用され、5本の補助線(基準線、転換線、遅行線、先行スパン1、先行スパン2)を持っています。先行スパン1と先行スパン2の間が「雲」となり、抵抗帯となります。この抵抗帯が厚ければ突破しにくく、薄ければ価格変動の前触れとして予測できる。一般的には、転換線が基準線を下から上へ横切ったときに「転換」(買いシグナル)、転換線が基準線を上から下へ横切ったときに「反転」(売りシグナル)を示す。また、遅行線がローソク足を下から上へ突き抜けた場合は買いシグナル、上から下へ突き抜けた場合は売りシグナルとなります。

・ボリンジャーバンド
ボリンジャーバンドは、移動平均線と標準偏差によって算出される上下の価格帯です。この価格帯の大きさは、市場のボラティリティによって変化し、標準偏差±1σ以内の動きをする確率は68.3%、標準偏差±2σ以内の動きをする確率は95.4%と言われています。バンドが拡大傾向にある場合は値動きが大きくなり、縮小傾向にある場合は値動きが小さくなる傾向があります。ローソク足が±2σを超えたら短期反転を狙うスキャルパーや、バンドが収縮から拡大する終値でローソク足が+2σを超えたらバンドウォークを狙う順張りトレーダーに利用されています。

▼オシレーターシステム
・RSI
RSIは、相対力指数とも呼ばれ、買われすぎ、売られすぎを示す指数で、一定期間の相場の「値上がり」「値下がり」をもとに算出されます。この指数は、一定期間の価格の上昇と下降をもとに算出されます。数値は0~100で示され、一般に70%~80%を超えると買われすぎ、20%~30%を下回ると売られすぎとされ、反転の兆しとされる。逆張りの参考指標として使われることが多く、持ち合い相場(レンジ相場)で有効に機能する傾向があります。逆に、勢いのあるトレンド相場では、反転の時点でも機能しないことがあるため、注意が必要です。

・MACD
MACDとは、移動平均収束拡散手法とも呼ばれ、「マックディー」と読みます。移動平均線の精度を高めるために開発されたテクニカル指標で、短期移動平均線と中期移動平均線の差で算出されます。MACDの線が0を下回ると、下降トレンドとなります。また、MACDとシグナルラインのゴールデンクロスやデッドクロスを利用して相場の転換点を検出することも可能で、比較的使い勝手の良いテクニカル指標です。

・ストキャスティクス
ストキャスティクスとは、持ち合い相場(レンジ相場)の一定期間の高値と安値から、現在の価格が買われすぎか売られすぎかを判断するテクニカル指標です。動きの速い%K(パーセントK)ラインと動きの遅い%D(パーセントD)ラインの2種類があります。Kラインの75%以上の水準は買われすぎ、Kラインの25%以下の水準は売られすぎとなります。K線が%D線を上回ると買いシグナル、%K線が%D線を下回ると売りシグナルが表示されます。ストキャスティクスは値動きに対する感度が高いため、売られ過ぎになりやすく、多くのトレーダーは値動きに対する感度が低いスローストキャスティクスを使用しています。

▼初心者にお勧めのテクニカル分析
初心者の方には、相場の流れをイメージしやすい移動平均線がおすすめです。まず、日足チャートに短5本、中25本、長75本の移動平均線を表示させて、現在の値位置を確認し、おおよその方向性を把握します。順張り」とは、右肩上がりのチャートに移動平均線が短期>中期>長期の順で並んでいる場合、比較的信頼度の高い上昇トレンドとなります。逆に、移動平均線が上から長期>中期>短期の順で並んでいれば、下降トレンドと言えます。短期間に何度も移動平均線が交差する場合は、トレンドがないと判断し、ストキャスティクスなどのオシレーターを使って逆張りを狙ったほうがよいでしょう。また、相場予測には通貨の特性も重要なので、最初のうちは取引する通貨ペアを絞り込んで分析することをおすすめします。

テクニカル分析で気をつけるべきこと

テクニカル分析は相場を予測する上で非常に有効なツールですが、すべてのシグナルが絶対的なものではないことに注意する必要があります。チャートはある程度の分析が可能であり、初心者でも簡単に引ける強いサポートライン(これ以上価格が下がりにくい水準)やレジスタンスライン(これ以上価格が上がりにくい水準)を過信してしまうことがあります。また、移動平均線のゴールデンクロスやデッドクロス、買われ過ぎや売られ過ぎを鵜呑みにしてポジションを取るのも危険です。テクニカル指標は、相場の方向性を視覚的に把握するのに便利ですが、絶対的なものではなく、いわゆる「偽信号」を目にする機会もあります。相場は時に予期せぬ出来事の発生により急変することがあり、様々な角度から相場を分析することで相場予測の精度を高めることが可能です。相場分析のポイントは、テクニカル分析とファンダメンタルズ分析をバランスよく使い分けることであり、それぞれで全く異なる結果にならないように、相場から一旦離れることも一つの方法です。

自分に合った分析方法を見つけよう

テクニカル指標を使った相場分析は、初心者でも比較的簡単にできます。それに対してファンダメンタルズ分析は、各国の経済状況や金融政策などを理解する必要があり、取引をしながら学ぶことができます。まずは、ご紹介したテクニカル指標をいくつか使って相場分析をしてみて、ご自身の手法や考え方に合ったものを選んで使ってみてください。選んだテクニカル指標のメリット・デメリットを知ることで、どのポイントでエントリーしてはいけないのか、どこで利益確定・損切りすべきなのかが徐々に分かってきます。また、分析方法が固まってくると、自分だけのオリジナルテクニカルチャートを作成することができるようになります。このチャートを使って分析結果を自分なりに取り入れ、それを繰り返すことで、自分なりの相場観が明確に見えてくるかもしれません。

 

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