FX市場は24時間世界中で取引されているため、為替レートは常に変動しています。
米ドル/円が90円まで下がったら安値で買うチャンスだと思ったら、90円まで下がるまで起きていて米ドル/円のレートを眺め、成行注文をしなければならないのでしょうか?
ご安心ください。予約注文など、チャンスを逃さないために起きていられる便利な機能があります。
希望する価格条件を満たしたときに自動的に売買する機能をうまく活用して、運用に活かしてください。
指値注文と逆指値注文の基礎知識
ここでは、最も便利な2種類の予約注文である指値注文(差金決済)と逆指値注文(逆指値決済)の基本を説明します。
▼指値注文とは?
下図のように、現在のUSD/JPYの為替レートが1ドル=110円であるとします。
「105円まで下がったら新株を買いたい(円高)」と考えたとします。
この場合、あらかじめ「105円になったら買う」という予約注文をすることが可能です。この予約注文を「指値注文」といいます。指値買い注文を設定しておくと、実際のレートが指定した価格である105円になったときに、自動的に米ドル/円の買い注文が実行されます。
また、現在の米ドル/円のレートが1ドル=110円で、115円になったら新規に売りたい(円安)と考えたとします。この場合も、「115円になったら売る」という予約注文をあらかじめ入れておくことが可能です。指値の売り注文を設定しておくと、実際のレートが指定した115円になったときに、自動的に米ドル/円の売り注文が実行されます。
このように、指値注文を使えば、チャートとレートをずっと見ていなくても、スケジュールを組んでトレードができます。現在の価格よりも有利な(良い)価格で注文を実行したいときに、とても便利な注文機能です。
▼逆指値注文とは?
前回の指値注文は「価格が下がったら買う」「価格が上がったら売る」という注文でしたが、今回の指値注文には「リバース」が付いています。前の指値注文とは逆なので、現在の価格と比べて「価格が上がったら買う」「価格が下がったら売る」注文になります。普段の生活では、安い時に買って高い時に売ることが多いので、逆指値注文という概念に馴染みがない方も多いかもしれません。どのような状況で使われるのか、具体例で見てみましょう。
現在のUSD/JPYのレートが下図のように110円だとします。
このレートが下落するのではなく、115円まで上昇(円安)したときに新たに買い注文を出したいと考えたとします。
この場合、「115円になったら買う」という予約注文をあらかじめ入れておくことが可能です。この予約注文のことを「逆指値注文」といいます。逆指値の買い注文を設定しておくと、実際のレートが指定した115円になったときに、自動的に米ドル/円の買い注文が実行されます。
なぜそのような注文をするのでしょうか。それは、外国為替市場において、ある価格を突破したことがきっかけで、上昇や下降の勢いがつくことがあるからです。例えば、この例で言えば、米ドル/円が115円になったら円安トレンドの引き金になり、さらに円安が進むと予想すれば、「115円になったら買う」という逆指値注文を利用することになります。
また、現在の米ドル/円のレートが110円で、105円まで下がったら新規に売りたい(円高)と考えたとします。この場合も、「105円になったら売る」という逆指値注文をあらかじめ入れておくことが可能です。逆指値注文を設定しておくと、実際のレートが105円になったときに、自動的に米ドル/円の売り注文が実行されます。
逆指値注文はいわば、トレンドフォローのための注文機能なのです。
▼指値・逆指値注文の注意点
現在の米ドル/円のレートが110円で、105円になったら買いたい(円高)場合、実際の価格があらかじめ設定した105円になったときに、ピンポイントで「指値注文」が成立します。105円より上や下のレートでは注文は成立しません。
現在のレートとあまりにかけ離れたレートで注文を設定すると、予想通りに相場が動かなかった場合に注文が成立しないので、よく考えて注文価格を設定しましょう。
逆指値注文の使用方法
ストップオーダーの具体的な使い方を2つ見てみましょう。
▼用途1:上昇トレンドや下降トレンドに乗る
以下の図1に示すように、米ドル/円相場が円高方向にどんどん下がっていくのが下降トレンド、円安方向にどんどん上昇していくのが上昇トレンドです。
前述したように、逆指値注文はトレンドフォローのための注文機能とも言えます。上昇トレンドや下降トレンドが始まろうとする価格に逆指値注文を出すことで、大きな利益を狙うことができるのです。逆指値注文では、相場が上昇トレンドに入ったときに新たに買い注文を出し、逆に下降トレンドに入ったときに新たに売り注文を出すことができます。
▼用途2:損失の拡大を防ぐ
これまで、新規に注文を出す際の逆指値注文について説明してきましたが、逆指値注文は、すでにポジションを持っている場合の決済注文としても使用できます。
例えば、すでにUSD/JPYの買いポジションを持っているとします。
このとき、含み益があれば、その利益を確定させたい、あるいは含み益がもっと増えるまでもう少し待ちたいと思うかもしれません。しかし、寝ている間にUSD/JPYが急落し、含み益がなくなったり、大きな含み損を抱えたりするリスクもあります。
そのような場合は、含み益を確保したいレートや許容できる損失を制限したいレートを逆指値注文で指定し、価格が指値を超えたら取引を終了することで、含み益の確保や損失を抑えることができます。以下で、詳しく見ていきましょう。
例1:利食いの場合
契約価格100円でUSD/JPYの買いポジションを10,000ドル持っているとします。
現在、USD/JPYは110円まで上昇し、1ドルあたり10円の含み益があり、10,000ドルの買いポジションを持っているため100,000円の含み益があります。
このとき、今後USD/JPYが予想に反して下落しても、最低でも5万円の利益を確保したいと考えたとします。この場合、ストップロス注文を105円に設定しておけば、105円まで下落した時点で自動的にポジションが決済され、USD/JPYが下落しても5万円の利益を確保することができます。
例2:ストップロス(損切り)
契約価格100円でUSD/JPYの買いポジションを1万ドル分持っているとします。
現在、USD/JPYは95円まで下落し、1ドルあたり5円の含み損となり、1万ドル分の買いポジションを持っているため、5万円の含み損となりました。
このとき、10万円以上の損失は避けたいと考えたとします。この場合、損切り決済注文を90円に設定することで、さらに価格が下落しても10万円以上の損失を回避することができます。
※スリッページにより指定レートを超える場合があります。
指値・逆指値注文でトレードチャンスを広げる
指値注文と逆指値注文について理解を深めたところで、これらの注文で何ができるかを見ていきましょう。目標価格で予約注文ができるようになることで、取引の幅が広がります。最もシンプルな「指値注文」「逆指値注文」をベースに、「IFD(イフダン)注文」「OCO(オーシーオー)注文」など、用途に応じた予約注文の機能があります。
基本的な「指値注文」「逆指値注文」をマスターすれば、「IFD」「OCO」注文を簡単に理解することができます。