pipsとは?FX取引で使用する単位の基礎知識と使い方

FXを始めると必ずと言っていいほど目にするのが「pips」という言葉です。
日常生活ではあまり使わない言葉ですが、FXではよく使われる言葉で、取引画面でも使われ、FX投資家の中には、利益の額ではなく、いかにpipsを稼ぐかを考えている人もいます。
この機会に、pipsとは何か、取引にどう使うか? を理解し、賢いFXトレーダーへの第一歩を踏み出しましょう。

FXのpipsとは?

FXの取引を始めると取引画面や入門書など様々なところでpipsという単語を目にすることになるでしょう。pips(ピップス)とは何を意味しているのか、通貨ペアによってどう見方が変わるのか、まずは基本的なことを覚えておきましょう。

▼値動きの最小単位?!pips(ピップス)の基礎知識
pipは「percentage in point」の頭文字をとったもので、通貨の共通単位としてFXで使用されるものです。pipsはpip(ピップ)の複数形で、「ピップス」と読みます。
FXでは様々な通貨が取引されています。各通貨の変動状況を「円が〇円変動」、「米ドルが〇米ドル変動」、「英ポンドが〇英ポンド変動」、「豪ドルが〇豪ドル変動」と各通貨の単位にあわせて表現すると、通貨単位がバラバラでややこしくなります。そのため、通貨の共通単位としてpipsが使用されます。例えば、「円は0pipsで変動」「米ドルは0pipsで変動」「英ポンドは0pipsで変動」「豪ドルは0pipsで変動」というように、異なる通貨ペアの変動幅を表現することができます。また、pipsはスプレッドの単位としても使われ、買値と売値の差を表現します。

1pipがいくらを表すかは、通貨ペアによって異なります。
例えば、USD/JPYとクロス/円(EUR/JPY、GBP/JPYなど)の場合、1pip=0.01円(1銭)です。10pip=10銭、100pip=1円です。USD/JPYのレートが100.00円から100.05円に上昇した場合、5pips(5銭)上昇したと言います。

米ドル/円、クロス円(ユーロ/円、英ポンド/円など)の場合
1pip=0.01円(1銭)
10pips=0.1円(10銭)
100pips=1円(100銭)です。

一方、ユーロ/ドルやポンド/ドルなどの米ドル建てストレート通貨では、1ピップ=0.0001ドル(0.01セント)です。
を表します。 ユーロ/ドルのレートが1.1500ドルから1.1505ドルに上昇した場合、レートが5pips上昇したとも表現します。

米ドルストレート(ユーロ/ドル、ポンド/ドルなど)の場合
1ピップ=0.0001ドル(0.01セント)
10ピップ=0.001ドル(0.1セント)
100 pip = $0.01 (1セント)

また、Pipsはスプレッド(買値と売値の差)の単位としても使われます。その差が狭いほど取引コストが低くなり、顧客にとって有利になる)。
例えば、あるFX会社がUSD/JPYのスプレッドを1pipsと提示した場合、1ドルあたり1.00円の手数料を徴収することを意味します。100円(=1銭(0.01円)×1万)は、1万ドル(1ロット)の取引にかかる手数料となります。短時間で売買を繰り返すスキャルパーにとって、スプレッドの差は利益に大きく影響します。

pipsの用途について

Pipsは、上記のようなスプレッドの単位としてだけでなく、トレードの結果を表現するためにもよく使われます。例えば、米ドル/円を1ドル=100.00円で買い、1ドル=100.50円で売った場合、「50pips稼いだ」と言う投資家がいます。獲得したpips」は利益率を表しており、この場合は50pips(=100.50(売値)-100.00(買値))となります。なお、pipsを用いた計算方法と投資効率については後述します。

FXでpipsを使う方法

では、「獲得pips」から実際の利益額を算出する方法を説明しますので、pipsを使った計算方法と投資効率の考え方を学ぶことで、中上級トレーダーを目指してください。

pipsを使った利益・損失の計算

例えば、米ドル/円の為替レートが100.00円の時に1万円分の買いポジションを新規に建て、100.05円で売った場合、5pipsを獲得し、利益は500円となります。

計算式
FX取引における「獲得pips」×0.01円(または0.0001ドル)×通貨枚数

獲得pips
100.05円(決済売値)-100.00円(新規買値)=0.05円=5pips

プロフィット
5pips×0.01円×10,000円=500円

投資効率の算出

なぜわざわざpipsを使って計算するのでしょうか?
ここで2つの例を比較してみましょう。

(1) USD/JPYが1ドル=100.00円のときに1万ドルを買い、1ドル=100.50円で売った場合。
(2) 1ドル=100.00円のときに5万ドル買い、1ドル=100.10円で売った。

それぞれの利益はいくらか?
(1) 5,000円(=50銭(0.5円)×10,000)。
5,000円(=10銭(0.1円)×50,000)。
どちらも5,000円の利益となります。

では、利益率(買値と売値の差)はいくらになるのでしょうか。
(1) 50ピップス
10ピップス

(1)の方が(2)よりも利益率が大きいことがわかります。もし、取引(1)で取引(2)と同じ5万円を買っていたら、利益は2万5千円、つまり5倍になっていました。つまり、取引(1)の方が圧倒的に効率的な取引であると言えます。この利益率のことを “獲得pips “と呼びます。獲得pipsが大きければ大きいほど、取引結果は良くなります。

ピップスに関する注意点

FX取引では、損益だけでなくpipsも意識することが大切です。しかし、pipsばかりに気をとられていると、強制ロスカットになるケースもあります。ここでは、pipsについて注意すべきポイントを紹介します。

FXの上級トレーダーの中には、新規注文をする際に、あらかじめ利益限度額と損失限度額を設定する人がいます。例えば、「利益ストップ:60ピップス、損失ストップ:30ピップス」のように、新規ポジションのビッド(またはアスク)価格からどの程度離れたところで利益や損失を出すか、一定のルールに従って決定するのです。もしかしたら、FXの入門書などにそのような方法が載っているかもしれませんね。

しかし、この方法はFXの初心者の方にはお勧めできません。なぜなら、取引量によって実際の利益・損失が大きく変わってしまうからです。前述の「利確幅:60pips、損切り幅:30pips」の設定では、1,000円の取引と10,000円の取引では、利益・損失ともに10倍もの差があります。

したがって、FX初心者は、pips幅を基準に損切りラインを設定しないように注意する必要があります。損切りラインは、pips幅ではなく、許容損失額に基づいて設定することが望ましいです。まず、許容できる損失額を決めてから、許容できる損失額のpips幅を以下のように計算することが望ましいです。

米ドル/円1万ドル購入の場合
許容損失額10,000円のケース
10,000円(許容損失額)÷10,000ドル(取引量)÷0.01円(1ピップあたりの単位)=100ピップス
⇒買値から最大100pipsの下落まで許容

許容損失額が5万円であるケース
50,000円(許容損失額)÷10,000ドル(取引量)÷0.01円(1ピップあたりの単位)=500ピップス
⇒買値から最大500pipsの下落まで許容

為替レートを見て “pips “に親しむ

「pips」という聞き慣れない言葉の意味や使い方は、最初は戸惑うかもしれません。まずは、実際の為替レートを見ながら、各通貨ペアの買値と売値の間に何pipsあるのかを確認することをお勧めします。しばらく継続して為替レートを見ていると、次第にpipsに慣れてきて、計算できるようになるはずです。

>