他の外貨投資と比較して、FXは選択肢が非常に豊富なことが魅力の一つです。特に、どのような通貨ペアが、どのような観点から人気を集めているのでしょうか。
FXで頻繁に取引される人気の通貨ペアにはどんなものがあるのでしょうか?
通貨ペアの中でも、国内の投資家に圧倒的に人気があるのは「米ドル/円」です。その理由は、まずニュースで頻繁に報道されるため、為替レートの動向を把握しやすいことが挙げられます。
米ドルに次ぐ世界の基軸通貨となるべく誕生した欧州統一通貨「ユーロ」も注目の通貨です。他の高金利国の通貨とのペアも人気を集めていますが、そのすべてに共通するのがクロス円です。
「クロス円」とは、ユーロ/円、英ポンド/円、スイスフラン/円、豪ドル/円、南アフリカランド/円など、日本円と組み合わせた通貨ペアを指します(米ドル/円は除く)。一方、米ドルと他の通貨との組み合わせは「ドルストレート」と呼ばれます。
実は、「クロス円」のレートは、米ドルを基軸通貨として算出されています。例えば、豪ドル/円のレートは、豪ドル/米ドルと米ドル/円のレートから導き出されます。
そのため、米ドル/円のレートは「クロス/円」の値動きにも影響を及ぼします。「ドルストレート」でよく注目されるのは、「ユーロ/米ドル」です。
為替差益を狙うならトレンド?スワップ益を狙うなら高金利通貨に注目?
FXで得られる利益には、「相場変動による為替差益」と「2国間の金利差によって毎日付与されるスワップポイント」の2種類があります。為替差益を求めるか、スワップポイントを求めるかによって、選ぶべき通貨ペアが異なってくると思われます。
まず、為替差益を追求するのであれば、トレンドが出やすい通貨ペア、情報が豊富で動向が把握しやすい通貨ペア、値動きが派手で短期的に上下に大きく振れやすい通貨ペアを狙うとよいでしょう。方向性がつかみやすいという点では、米ドル/円が上位の通貨ペアで、英ポンド/円はブレグジット(英国のEU離脱)の影響で短期的に乱高下する可能性があると考えられます。
一方、スワップ目的の取引であれば、日本よりもはるかに高金利な国の通貨を狙うべきで、2019年5月時点の主要高金利国の政策金利は、中国4.35%、南アフリカ6.75%、メキシコ8.25%、トルコ24.00%。
かつてオーストラリアとニュージーランドは高金利で知られていましたが、現在はどちらも1.5%(2019年5月時点)。
高金利とまではいかないものの、投資家の間で根強い人気があるのは確かです。
通貨ペアでこんなに違う!?1日のスワップポイントの違い
前述の通り、国によって政策金利に差があるため、通貨ペアによって得られるスワップポイントに大きな差が出やすい傾向にあります。では、通貨ペアによってどれくらいの差があるのかを見てみましょう。
まず、主要国の中で圧倒的に高金利通貨であるトルコリラ/円の買い建てでは、ポジションを保有している限り、1万通貨あたり110円のスワップポイントが毎日付与されます。一方、ユーロ/円の買い建てでは、1万通貨あたり15円のスワップポイントを支払う必要があります(2019年5月14日現在)。
これは、当時のユーロ圏の政策金利が日本より低かったためで、FXでは「金利の低い通貨を買って、金利の高い通貨を売る」ことを組み合わせると、結局はスワップ払いになります。
日本より金利の高い国との「クロス円」ペアを比較すると、香港ドル/円の売り買いは、1万通貨あたり10円と比較的少ない。なので、トルコリラ/円とは1日あたり100円の差があります。
365日では36,500円の差となり、さらに大きなポジションを建てることになれば、その差はさらに大きくなります。当然、ポジションの保有期間が長ければ長いほど、結果の差は大きくなります。
ただし、高金利通貨にはそれなりのリスクがあることも頭に入れておく必要があります。政策金利が高くなると、インフレになったり、相応のリターンがないと外国人投資家が入ってこない(金利が高くなる)ことがあります。
つまり、多くの投資家はリスクを覚悟で資金を運用しているわけで、資金回収のために何らかの行動を起こさざるを得ない可能性があります。これが現実となった場合、通貨価値の急激な下落を伴う可能性が高いです。
例えば、トルコリラを買っていたら、どんな成果があったか。
前述のリスクを正しく理解し、状況の変化にどう対処するか、自分なりの戦略を立てるのであれば、トルコリラ/円のような超高金利の通貨ペアは非常に魅力的な選択肢となります。
主要通貨ペアでは最低でも数万円の証拠金が必要ですが、トルコリラ/円は1万円あたり7,200円という少額で開設することが可能です。このように、非常に少額から超高利回りのスワップポイントが期待できるのです。
実際にどの程度の結果が期待できるのか検証してみましょう。トルコリラ/円レートが18,000円、スワップポイントが110円のときに、口座に10万円入れて1通貨あたり15,000円の買いポジションを建てた場合のシミュレーションです。
推奨証拠金は9万円、実効レバレッジは2.7倍、予想スワップポイントは1ヶ月後4,950円、1年後60,225円、10年後602,250円、35年後2,107,875円となりました。もちろん、金利やスワップポイントが変わればこの数字も同じにはなりませんが、目を見張るような結果であることは確かです。
また、このポジションのロスカットが発動するレートは11,806円であることも判明しました。ちなみに、トルコリラ/円は2018年8月に17円割れの最安値をつけたものの、これまで12円の水準に達したことはありません。
値動きが派手なトルコリラも為替差益の狙い目
トルコリラ/円は、スワップポイントが著しく高く、少額から投資できる点が魅力です。その一方で、長期的な下落トレンドにあり、何度も急落しています。
しかし、相場は下落した直後に必ず上昇し、トレンドも比較的明確です。そのため、スワップだけでなく、短期的な為替差益を狙うのにも魅力的です。
ただし、価格変動が激しいので、市場をよく観察することが必要です。