資産運用の手段として人気の高いFX取引ですが、何から始めたらいいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。
まだFX取引をしたことがない方や初心者の方でも、基本的なポイントを押さえておけば、比較的簡単にFX取引を理解することができます。まずは、FX取引の基本を学ぶことから始めましょう。
FXの基礎知識
▼ FXとは?
FXとは、Foreign Exchangeの略称で、日本語では「外国為替証拠金取引」とも呼ばれ、各国の通貨を取引し、相場の変動から利益を得ることを言います。具体的には、FX会社の口座に日本円を入金することで、「日本円を売って米ドルを買う」「ユーロを売って日本円を買う」など、2つの国の通貨をセットで取引する仕組みです。このような組み合わせのことを通貨ペアといいます。基本的には、外貨を安く買って高く売ることで利益を得ることができ、取引期限がないため、長期的に大きな利益を狙うことができます。また、金利の高い通貨を保有することで、「スワップポイント」と呼ばれる金利差による利益を毎日受け取ることができるのも魅力的なポイントです。
▼ FXの特徴
FXの特徴として、少額の資金で大きな取引ができるレバレッジ取引ができることが挙げられます。少額の資金で大きな取引ができるレバレッジをイメージするとわかりやすいでしょう。高いレバレッジをかけた取引はリスクが高くなりますが、資金を適切に運用することで大きな利益を狙うことが可能です。
FXで期待できる利益は、大きく分けて2種類あります。
1つ目は、為替レートの変動によって得られる利益である「為替差益」です。
FX取引は「買い」(安い時に買い、高い時に売ること、「ロング」とも言います)だけでなく、「売り」(高い時に売り、安い時に買うこと)もあります。
また、「売り」(高いときに売って、安いときに買い戻すことで、「ショート」ともいいます)でも利益を上げることができます。為替相場は24時間常に変動しており、「買い」と「売り」を使い分けることで、上昇相場でも下落相場でも利益を得るチャンスがあり、取引チャンスは無限と言っても過言ではありません。
もうひとつは、スワップポイントによる利益です。
スワップポイントとは、通貨を交換する際に発生する金利差調整のことで、政策金利の違いによって発生するものです。具体的には、金利の低い国の通貨を売って、金利の高い国の通貨を買い、翌日までポジションを持つことで、スワップポイントを受け取ることができ、そのポイントは決済するまで保有したポジション量に応じて毎日発生し続ける。逆に、低金利国の通貨を買い、高金利国の通貨を売った場合は、スワップポイントが支払われます。また、スワップポイントは日々変動します。
FXは外貨預金と同じように外貨を売買する取引ですが、その仕組みやルールは大きく異なっています。
そのひとつがスプレッド(売値と買値の差)です。
(外貨預金では、外貨を預けるときに片道1円程度の為替手数料がかかります)。
FXスプレッドとは?
FX取引では、取引額の25分の1に相当する証拠金を預けることで、売買ができます。つまり、証拠金の25倍の取引ができるため、10万円の証拠金で250万円まで取引できることになります。少額の資金で大きな取引ができるのは資金効率が高く、これがFXの最大のメリットといえるでしょう。
通常の外貨預金や外貨両替では、1ドル100円のときに1万米ドルを買うには100万円が必要ですが、FX取引では100万円の25分の1の4万円を口座に入金すれば、1万米ドルの取引が可能です。1ドル=110円で取引を終了すれば、FX取引でも外貨預金と同様に10万円の利益を得ることができます。
FXの特徴
(1) レバレッジにより、少額資金で大きな取引ができる。
(2) 為替差益やスワップポイントによる収益が期待できる。
(3) 低コストで外国為替取引ができる。
(4) スマートフォンアプリで24時間簡単に取引可能。
FXの始め方
FXの基本的な知識が身についたところで、FXの始め方を4つのステップで解説していきます。
FXを始めるための4STEP
STEP1:FX会社を選ぶ
STEP2: 取引口座の開設を申し込む
STEP3: 書類審査
↓↓↓
STEP4: 取引システムへのログイン
STEP1:FX会社を選ぶ
初心者の方は、FX口座を開設する会社を選ぶ際に、何を基準に選べばいいのかわからないと思います。国内FX会社は信託保全が完備されており、取引会社が倒産した場合でも顧客の資産は守られます。ただし、スプレッドやスワップポイント、手数料などは会社によって異なるので、よく比較する必要があります。
一番良いのは、自分の取引スタイルに合った会社を選ぶことです。
例えば、短期の為替差益を狙う取引(スキャルピングやデイトレード)を頻繁に行うのであれば、スプレッドが狭い(コストが安い)会社を選びましょう。取引する通貨ペアのスワップ金利が高い会社を選べば、利益の拡大が期待できます。
また、初心者の方は、わからないことがあったときに気軽に問い合わせができる会社を選ぶと、安心して取引することができます。
STEP2:取引口座開設の申込み
口座開設というと分かりにくいかもしれませんが、主にFX会社のホームページから口座開設の申し込みができます。
パソコンやスマートフォンからオンラインの申込フォームに氏名や住所などの必要事項を入力し、本人確認書類やマイナンバーをアップロードまたは郵送で提出することで申し込みは完了します。基本的に来店や申込書への記入は不要で、手軽に口座開設ができます。
STEP3:書類審査
口座開設の申し込みが完了したら、FX会社が入力した氏名や生年月日などの個人情報と本人確認書類の情報が一致しているか、また金融資産や投資経験などの情報を確認するために、書類審査を行います。
審査に合格すると口座が開設され、「口座開設完了通知書」が電子メールまたは郵送で届きます。口座開設完了通知書には、口座情報やパスワードなどの重要な情報が記載されていますので、大切に保管してください。
STEP4:取引システムへのログイン
口座開設が完了したら、まずは取引システムにログインしましょう。会社によって取引画面が異なったり、取引ツールの設定が必要な場合がありますので、必ず事前に取引環境を整えてください。
FX口座への入金方法は、インターネットバンキングを利用して24時間いつでも入金できる「口座振替」と、FX会社が指定する口座への「振込」の大きく2種類があります。取引機会を逃さないためにも、口座開設が完了したら必ず入金することを忘れないようにしましょう。
FXの基本的な手法
新規注文と決済注文について
FX口座への入金が完了したら、いよいよ取引開始です。
ポジションとは、保有する外国為替の量のことで、一般的に1万通貨単位=1ロットと定義されています。取引を行う際は、取引したい通貨ペアを選択し、ロット数を指定して、新規の買い注文、または新規の売り注文で取引を開始します。
新規の買い注文で始めれば、価格が上昇したときに利益を得ることができ、新規の売り注文で始めれば、価格が下落したときに利益を得ることができます。もちろん、相場が予想通りに動けば利益が出ますが、逆に動けば損をすることになります。初心者の方は、身近な通貨を選んで取引を始めると、相場の動きがわかりやすいと思います。例えば、米ドルやユーロ、豪ドルなど、国内FX取引で人気の通貨ペアは情報量が豊富で、値動きを予測しやすいとされています。
FX取引の基本
新規に買いで始める⇒値上がりで利益を得る
新規に売りから入る⇒価格の下落で利益を得る
初心者の方は、身近で値動きが予測しやすい通貨ペアを選ぶことをお勧めします。
(米ドル、ユーロ、豪ドルなど)
6種類の注文方法
FX取引にはいくつかの注文方法があり、それぞれを利用することで取引の幅を広げることができます。注文方法は大きく分けて6種類あります。
(1)成行注文
成行注文は、取引の成立を最優先する(=市場価格で取引したい)注文方法です。成行注文は、約定が早いため、すぐに売買したい場合に利用されます。
(2) 指値注文
指値注文とは、あらかじめ有利な条件を満たす価格を指定しておき、その価格に達した時点で注文を約定する注文方法です。買い指値注文は現在の価格より低い価格を、売り指値注文は高い価格を指定します。
(3)逆指値注文
一方、逆指値注文は、希望する価格に達した時点で市場に注文を出し、約定される注文方法です。現在のレートよりも不利なレートを指定する必要があり、あらかじめ指定したレートに達した時点で損切りをしたい場合に利用されます。
(4) IFD注文
IFD注文は「イフダン注文」とも呼ばれ、新規注文と新規注文が成立した後に有効となる決済注文を同時に発注することができる注文方法です。例えば、米ドル/円が100円になったら買いという新規注文を出し、買いが成立したら105円で売りという決済注文を出すのがIFD注文です。
(5) OCO注文
OCO注文とは、あらかじめ2つの指値・逆指値注文を同時に出しておき、一方の注文が成立すると、もう一方の注文を取り消す注文方法です。例えば、現在米ドル/円が100円で、米ドル/円が98円になったら新規に買い注文を出し、米ドル/円が102円になったら新規に売り注文を出したい場合、OCO注文を利用することができます。指値・逆指値と組み合わせることができるため、あらかじめ指定した価格で取引を行うトレーダーに好まれています。
(6) IFO注文
最後にIFO注文ですが、これはIFD注文とOCO注文を組み合わせたもので、新規注文と注文が成立したときに有効になる決済注文を2つ、一度に出すことができる注文方法です。
例えば、現在米ドルが100円の場合、98円で買いたいという新規注文と、約定後に99円まで上昇したら利益確定注文、97円まで下落したら損失確定注文をワンセットで出すために使用します。
成行注文以外の注文方法をうまく利用することで、リアルタイムで相場に目を配ることが難しい方でも、外国為替市場での収益機会を増やすことができるのです。
まずは成行注文、指値注文、逆指値注文といったシンプルな注文方法から始めて、自分の取引スタイルや手法に合わせてIFD注文やOCO注文を使い分けることができれば、上級者トレーダーと言えるでしょう。
FXを始める際に覚えておきたい用語
FXの取引方法を理解する上で、覚えておきたい用語がいくつかあります。これらの基本的な用語を理解することで、FX取引への理解が深まり、より自信のあるトレーダーとなることでしょう。
▼ スプレッド
スプレッドとは、FX会社が提示した外貨を売買する際の買値と売値の差のことです。例えば、USD/JPY(米ドル/円)の売値が100.00、買値が100.01の場合、スプレッドは0.01円(1銭)です。
FX会社や通貨ペアによって異なり、1日のうちでも差が広がったり狭まったりすることがあります。インターバンク市場では、スプレッドは常にレートとともに変化していますが、一般的に多くのFX会社は、顧客に配信するレートに「原則固定」を掲げています。(ただし、固定される時間は限られており、固定された時間内であっても市場の急変動や流動性不足の場合には例外がある)。
スプレッドは実質的な取引コストであるため、スプレッドが狭ければ狭いほど為替差益を得やすいです。
スプレッド:外国通貨を売買する際の売値と買値の差のこと。
▼ロスカット
ロスカットとは、損失が際限なく拡大することを防ぐため、証拠金が一定水準まで減少すると、反対売買により自動的にポジションを決済する仕組みのことをいいます。
ロスカット:証拠金が一定水準まで減少すると、自動的にポジションを決済する仕組み。
▼スリッページ
スリッページとは、注文を出したときの価格と実際に約定したときの価格との差のことです。外国為替市場は常に変動しているため、約定時にスリッページが発生し、意図しない価格で注文が約定することがあります。
スリッページ:注文時の価格と注文が執行された時の価格のズレ
▼通貨単位
通貨単位とは、FX取引において取引可能な通貨の単位を意味します。一般的に1ロット=1万通貨単位で、米ドル/円では1万通貨単位が1万米ドルに相当します。
FX取引では、「100万円分の外貨を買いたい」と金額を指定して注文するのではなく、この通貨単位で注文を出します。
通貨単位:FXで取引可能な通貨の単位。
▼チャート
チャートとは、過去の価格推移を表したものです。ラインチャート、ローソク足、バーチャートなどの種類があり、ローソク足(ローソク足)は多くの日本の投資家に好まれています。
過去の価格推移は投資家の心理を表しているといっても過言ではなく、チャート分析を駆使することで、相場が上昇トレンドにあるのか下降トレンドにあるのかを予測することが容易になります。常にチャートを見る必要はありませんが、FXは売買のタイミングが重要なので、取引前にチェックすることをおすすめします。
チャート:過去の価格推移を表したもの
▼テクニカル分析とファンダメンタル分析
テクニカル分析とは、過去の価格動向を分析して相場を予測することであり、ファンダメンタル分析とは、経済情勢、金融政策、政治情勢などを分析して相場を予測することです。
テクニカル分析は、過去の価格推移を示すチャートをもとに、相場のパターンを分析するため、チャートには移動平均線、ボリンジャーバンド、RSI、MACDなどのテクニカル指標を組み合わせて使うことがあります。
一方、ファンダメンタルズ分析は、経済指標や要人発言などを材料として重視する。米ドル/円の場合、日米の経済状況や日銀総裁の発言などを分析し、相場を予測します。
どちらの分析も、相場の流れに乗るか、相場の行き過ぎを逆手に取るかは、取引スタイルによって異なります。
やり方がわかったら、実践してみよう
FX取引の基本的な仕組みは、決して難しいものではありません。基本的なルールを守って取引することで、テクニカル分析やファンダメンタルズ分析を駆使し、収益機会を増やすことができるようになります。
初心者からプロトレーダーまで同じ土俵で取引できるので、儲けるチャンスは同じですし、少ない証拠金で取引できるので、取引に慣れるまではあまりポジション量を増やさず、利益と損失の取り方を検討するのがおすすめです。まずは自分に合ったFX会社を見つけて、安心できる環境でFX取引を始めてみてください。