FXの最大のメリットは、他の外国為替取引と異なり、レバレッジ効果によって効率的に利益を追求できることです。
レバレッジは、重いものを簡単に持ち上げることができる「てこ作用」に似ていると言われています。
レバレッジとは、テコの原理でFX取引ができること?
レバレッジを利用すると、自分では動かせないような重いものを持ち上げることが可能になります。これは、自分が加えた力が、レバレッジによって何倍にも増幅されるからです。
FXのレバレッジも、テコと同じような仕組みになっています。レバレッジという言葉には「てこの力」「てこの作用」という意味がありますが、これは担保として預けた証拠金の数十倍に相当する資金で取引ができるようになるためです。少額の資金で大きな取引ができる仕組みを「レバレッジ効果」といいます(株式投資における信用取引ではレバレッジが利用されます)。
例えば、1ドル=100円のときに2万5000ドル(250万円)を運用するには、外貨預金などの商品では当然2万5000ドル(250万円)の資金が必要です。これに対し、FXでは10万円の証拠金で2万5000ドルのポジションを建てることができます。この場合、250万円÷10万円相当は「レバレッジ25倍」ということになります。
その後、外国為替市場で円安が進み、1ドル=110円になったとします。この時点でポジションを決済すると、1ドルあたり10円の為替差益が発生し、25,000ドルを投資していたので、25万円(25,000ドル×10円)の利益を得たことになります。つまり、10万円の元本(証拠金)で25万円のリターンを達成したことになります。
これに対し、外貨預金は売買を同時に行っても、元手250万円で25万円の利益となり、レバレッジを効かせることで効率よく資金を増やせることが分かります。
レバレッジの倍率が高ければ高いほど、効率よくリターンを得ることができます
日本で登録されているFX業者は、日本の金融庁が定める規則に従ってサービスを提供しており、個人名義の口座で適用できる最大レバレッジは25倍となっています。上記の具体例は、この最大レバレッジを利用したシミュレーションです。
同じケースで、レバレッジが10倍に制限されている場合、1ドル=100円のときに10万円の証拠金で1万ドルのポジションを建てることができます。ポジションとは、売買する外貨の量のことです。その後、1ドル=110円でポジションを決済すれば、1ドル=10円の為替差益が発生し、10万円のリターンとなります。
1ドル=100円で5,000ドルのポジションを証拠金10万円で建て、1ドル=110円で決済した場合、1ドルあたり10円の為替差益が発生し、5万円のリターンとなります。1ドル=110円でポジションを決済すると、1ドルあたり10円の為替差益が発生し、5万円のリターンとなります。
同じ10万円の証拠金でも、レバレッジのかけ方によってリターンが変わってきます。つまり、レバレッジ比率が高いほど、効率的に増やすことができるのです。
レバレッジを使った取引のポイント
ポジションの取りすぎに注意!
大きなメリットのあるレバレッジにも、注意すべきポイントがあります。レバレッジを最大限に利用する(少ない証拠金でフルポジションを建てる)ことは、大きな利益につながる反面、リスクも伴います。
例えば、100万円を用意し、その資金に対して100万円全額でポジションを持つトレーダーがいます。このような取引は当然リスクが高くなります。
しかし、実際には「セーフガード(ロスカットルール)」が設けられており、損失がこの水準まで膨らむ前に自動的に取引が終了するようになっています。
とにかく、レバレッジの倍率をむやみに高くすればするほど、リスクが高くなることを肝に銘じておいてください。
証拠金を多めに預ける
FXでレバレッジをかけた取引をする場合、「必要証拠金」「証拠金維持率」「ロスカット」という3つのキーワードが重要になります。必要証拠金とは、レバレッジ25倍(個人口座の場合)のポジションを維持するために担保として必要な最低限の資金のことです(※)。※TRY/JPY、RUB/JPYのみ10倍。
1米ドル=100円(レバレッジ25倍)で25,000ドルの買いポジションを建てた場合、必要証拠金は「25,000×100÷25=100,000円」となります。ただし、ポジションを建てた後の為替レートの変動により為替差損(評価損)が発生した場合は、その分だけ純資産額(その時点で全ての取引が終了した場合の資産)が減少します。
必要な証拠金だけを預けていた場合、すぐに必要な証拠金を下回ってしまうことになります。したがって、実務上は、必要証拠金以上の資金を口座に残し、一定の範囲内で為替差損に耐えられる体制で取引を行うことが鉄則となります。
例えば、必要証拠金が10万円であっても、50万円を預けておけば、その後1ドル=99円の円高になり、2万5000円の評価損が発生しても、純資産額は47万5000円のままです。さらに475,000円分相場が変動するまでは、必要証拠金に不足することはありません。
不必要に大きなポジションを取らず、実効レバレッジを低く抑えましょう
ポイント
(1)むやみに大きなポジションを建てない。
(2)実効レバレッジは3倍程度にとどめ、上げ過ぎない。
(3)実効レバレッジを上げるのは、慣れてからにする。
FXでは、証拠金の25倍まで資金を動かせるからといって、むやみに大きなポジションを取らないようにすることが最も重要なポイントになります。これは決して難しいことではなく、有効なレバレッジを意識していれば簡単にできることです。
実効レバレッジとは、純資産額に対して、現在のポジションが何倍になっているかを示すものです。つまり、実際の運用レバレッジのことです。
実効レバレッジを上げすぎないように注意すれば、おのずとリスクを減らすことができます。
一般的には、実効レバレッジを3倍程度に抑えておけば、証拠金不足に追い込まれる心配はないと言われています。最初はこの程度のレバレッジで相場の感覚を掴み、慣れてきたら徐々に実効レバレッジを上げるとよいでしょう。
トレードでは、損失をできるだけ小さく抑え(読みが外れてもあまり粘らない)、利益をできるだけ大きくする(読みが当たっていれば積極的に粘る)ことが効果的と言われています。この観点から、ロスカットが発生する前に、自分の判断で逆指値注文(損失の拡大を食い止めるための売り)を設定しておくのもよいでしょう。