円高・円安とは何か、FX市場に参入する最適なタイミングは?

輸出入など海外と取引する企業や、外貨を売買して資産運用する投資家にとって、円高・円安になるとどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
米ドル/円を買う場合、円高と円安のどちらで買うのが良いのでしょうか?円高と円安の基本的な違いを理解し、為替差益を得るために、基本的なポイントを押さえつつ、具体例を挙げて解説していきます。

円高・円安って何?

為替レートとは、異なる通貨を交換(売買)する際に適用される為替比率のことを指します。
例えば、日本円と米ドルは1ドル=100円で交換されますが、この為替レートは日々変動しています。
これは、日本円を売って米ドルを買いたい人と、米ドルを売って日本円を買いたい人の間で、希望する交換比率になったときに取引が成立するためです。外国為替市場では、さまざまな意思を持った人が希望の売り値と買い値を提示しており、その動向に応じて為替レートは日々変動しています。

では、ニュースでよく報道される円高・円安は、為替レートの変動という現象をどのように指しているのでしょうか。
簡単に言うと、円高とは特定の外国通貨に対して日本円の価値が上がっていることであり、円安とは日本円の価値が下がっていることです。

日本円と米ドルの関係で言えば、少し前の取引レートが「1ドル=100円」だったとすると、「1ドル=90円」のように100円以下になると円高になったと言うことになる。それまでは1ドルを得るために100円が必要だったが、より少ない金額で1ドルを得ることができるようになった(=日本円の対ドル価値が高くなった)ためです。
また、ドルの立場からは、ドル安が進行していると言えます。
円高・ドル安は相対的なものであり、需給関係で成り立っている状況です。

一方、「1ドル=100円」から「1ドル=110円」への為替レートが100円を超えた場合、1ドルを買うために100円のときよりも多くの日本円が必要になるため、円安が進行していることになる。また、ドルの立場からは、「ドル高」とも言えます。

円高・円安の影響

円高・円安は、私たちのビジネスや日常生活、投資活動にどのような影響を及ぼすのだろうか。
まず、海外との貿易でモノを輸出入している企業について考えてみましょう。

輸入企業にとっては、円高は輸入品を安く多く仕入れられるというメリットがあり、円安は輸入する外国製品の価格を上げるというデメリットがある。逆に輸出企業にとっては、円高になると海外での販売価格が上昇するため、国内製品を海外で販売しにくくなるデメリットがあり、円安になると海外での販売価格が下落するため、国内製品を海外で販売しやすくなるメリットがあります。

次に、現地通貨を必要とする海外旅行ではどうでしょうか。円高になると、より多くの外貨を両替できるのがメリットですが、円安になると、少額の外貨しか両替できないのがデメリットです。

外貨預金の場合を考えてみましょう。円高になれば外貨の価値が下がり、損をしますが、円安になれば外貨の価値が上がり、利益を得ることができます。
つまり、円高のときに外貨預金を行い、預けたときよりも円安になった状況で預金を引き出せば、利益が出るということです。

 

FX取引の例

では、円高・円安はFX取引にどのような影響を与えるのでしょうか。日本円と米ドルの取引事例をもう少し見てみましょう。

1ドル=110円で日本円を売って米ドルを買う取引をしていて、円安になり1ドル=111円でポジション(買っていた建玉)を決済した場合、1ドル=1円の為替差益が発生します。仮に1万ドル取引していた場合、「1円の為替差益×1万ドル」で1万円の利益となります。

逆に、円高になり、1ドル=109円でポジションを決済した場合、1ドル=1円の為替差損が発生し、1万ドルの取引をしていた場合、1万円の損失が発生することになります。

エントリー時よりも円安になった時点でポジションを決済すれば為替差益が得られますが、円高になりそうな場合は為替差損が発生するリスクがあるので、取引は控えた方が無難です。

 

為替レートはなぜ動くのか?円高・円安の仕組みは?

前述したように、為替レートは取引に参加する投資家の思惑によって変動します。投資家は「円高になる」「円安になる」と勝手に予想します。

では、何が投資家の予測に影響を与えているのでしょうか。いろいろな要因がありますが、
最も影響力があるのは、世界の政治・経済情勢と中央銀行の金融政策です。

例えば、米国側が「貿易上不利な立場にある円安は望ましくない」とコメントすれば、何らかの圧力で円高ドル安に転じるのではないかと推測する投資家が増えます。また、重要な経済指標である米国の雇用統計が予想を上回れば、投資家は「好景気が続いている」と判断し、ドルを買う(円を売る=円安にする)可能性もあります。

さらに、日本がゼロ金利政策を続ける中で、米国の中央銀行であるFRB(連邦準備制度理事会)が利上げを行えば、日米の金利差は拡大することになる。そのため、投資家は日本より高い金利を求めて「日本円を売って米ドルを買う」という憶測を呼びがちです。

円高と円安のどちらでエントリーすればいいのか?

FX取引では、円安になったときだけでなく、円高になったときにも利益を得るチャンスがあるのです。

2017年以降のように狭いレンジ(値幅)で上下動を繰り返すもみ合い相場でも、自分の裁量で柔軟に売買できるFXなら、こまめに利益を積み重ねることが可能です。このような相場では、安値で買って高値で売る、あるいは高値で売って安値で買い戻す、このようなトレードを繰り返していけばよいのです。

こうした頻繁なエントリーチャンスは、多くの投資家がFXに期待するところでもあります。

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